数十年間に読んだ本の記憶を掘り起こして目録を作る。棚卸をしてみると、すぐに書名が出てこなくて情けない。何の役に立つかはわからないが、今やらないと全て忘却してしまうだろうから、思いたったが吉日だ。
6回くらいの引越しのたびごとに本は処分してきているので、記憶を紐解いていくしかない。片鱗でも思い出せれば、インターネットのおかげで手繰るのは容易である。印象だけで中身を忘れてしまっている本がとても多い。昔はSFをよく読んでいて大事にしていた作品もあったがもはや忘却の彼方である。時間がかかるので都度更新していこう。自分が「こりゃ傑作」と思う作品の特徴を帰納法であぶりだせれば、新しく本を選ぶときの参考になるかも知れない。面白い本は数多くあるが、これは芸術だ、とっておこう、とまで思う本は少ない。
SFの作品が思い出せなくてネットを見ていたら、ついつい河出書房の20世紀SF集を6巻通しで注文してしまった。ロジャーゼラズニイでいい作品があった気がするが何だったか思い出せない。
(最終更新12月18日)
①傑作。文句無しに好き
現代
カズオイシグロ「私を離さないで」 読了後の深く尾を引く感動。やるせなさの極致。すごい小説。読了してしばらくは声も出ない。
野坂昭如「骨餓身峠死人葛」 この棚卸を考え付いて、思い出した小説。探してみるが出てこない。ネットで探すと文庫は絶版のようだ。3巻ものの全集が出ていて、その第二巻に表題作として収録されていた。再読して改めて驚嘆した。20年くらい前に読んだが、細部までかなり克明に記憶していたことにもびっくり。よほど強烈な印象だったのだろう。今読んでも素晴らしい完成度。この全集第二巻の他の収録作品は全て初読だが見事な面白さ。思わぬ拾い物をして嬉しい。3巻全部買ってしまいそうだ。
村上春樹「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」 最新作までを通じてこれが抜きん出ている。ノルウェイもいいが、やっぱりこっち。クロニクルはインパクトが薄い。この小説はすごい。作者もこれを出して以降、ちょっと魂を抜かれた感じ。作者の魂を吸い取ってしまった作品だと思う。
佐藤亜紀「バルダザールの遍歴」
山口雅也「生ける屍の死」
サラ・ウォーターズ(すりの話し)(手品師の話し)
矢作俊彦「あじゃぱん」
浅田次郎「天切り松闇がたり」 浅田次郎には誰でも一時期はまるものだ。「蒼穹の昴」「プリズンホテル」など大作も素晴らしいが、文句なしに好きなのはこのシリーズ。男泣きに泣ける。まあ、再読はしなそうだが。ぽっぽやは映画が実によかった。
宮尾登美子「鬼龍院花子の生涯」 仲代達矢の映画も良かったが、小説も素晴らしい。
桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」
ははき木蓬生「逃亡」 実に読み応えがあり、読後感の爽快な大作。面白い。
漫画
内田春菊「呪いのワンピース」「吸血少女vs少女フランケン」 力を抜いて描いているが、構成、ストーリー、絵、すべてのバランスが良く傑作になっている。絵が本当に秀逸。後年はうまくなりすぎてパターン化したが、この頃のは作者の天才が良く現れている。今でも中古でそこそこ手に入るようだ。20年以上も捨てずにとってある。
士郎正宗「攻殻機動隊1」 映画や「2」もあるが、結局この「1」で出尽くしている。稀代の名作。何度読み返したか分からない。アップルシードも全て読んだが、これにははるかに及ばない。
手塚治虫「奇子」 傑作。
藤子・F・不二雄「ミノタウロスの皿」 非常にいい。会田誠の美味ちゃんに通じる。同じようなものをと思ってもない。
業田良家「自虐の詩」
「シグルイ」 際物とぎりぎりだが、やはり図抜けたものがあって忘れ難い。進行中。好き嫌いは分かれる。
剣客もの
津本陽「薩南示現流」 最高の剣豪小説。
推理・サスペンス
京極夏彦「魍魎のはこ(漢字が出せない)」 予備知識なく、初版の時に書店平積みのを手にとって読んで大ショック。出だしの素晴らしさに圧倒され、落ちの見事さに脱帽。それ以降全部京極作品を読んでいるが、これを越える作品は出ていない。
綾辻行人「霧越邸殺人事件」 推理小説としてではなく、幻想小説として綺麗。手元に置いておきたい。
SF
J・P・ホーガン「星を継ぐ者」 中身は完全に忘れたが、印象は強い。他にも色々あったのだが。。思い出し中。クラークの作品もおしなべて良かった。
古典
谷崎潤一郎「少将滋幹の母」「細雪」 ほとんど読んだが、「細雪」が特にいい。
三島由紀夫(天人五衰など4部作) ほとんどの作品を読んだが、やはり最後年の傑作4部作が、圧倒的にすごい。
井伏鱒二「珍品堂主人」
大江健三郎「飼育」
アナイス・ニン「デルタ・オヴ・ヴィーナス」 20年前に原書に感動。ポルノなら英語の勉強が進む、と英語教師が薦めてくれた。ポルノというより完全に芸術。ないだろうと思っていたら、なんとネットで翻訳の古書を発見。注文してみた。
②次点
町田康「くっすん大黒」「きれぎれ」
カズオイシグロ「日の名残り」 イシグロは切なさを表現する天才。
「風魔」
横森理香「ぼぎちん」
笠井潔「哲学者の密室」 分厚いけど楽しく読める。長さを楽しめて良い。
J・G・バラード「コカインナイト」
スティーブン・キング「スタンド・バイ・ミー」「(囚人の話)」
池波正太郎「鬼平犯科帳」 全巻買ってあるが半分くらいでお休み中。
島田雅彦「彼岸先生」
村上龍「5分後の世界」 彼の小説では一番いいのではないか。テニスボーイの憂鬱やイビザなども面白いし、暴力性や時代の空気などを描くのはいいのだが美しさがないのが欠点。そういう価値観はあまり無い作家なのでしょう。「5分後の世界」には踊り子の場面が美しい。それだけでも価値がある。
漫画「皇国の守護者」 進行中。早く次巻が読みたい。世界観の設定が見事。美しさのある漫画。
「ツイラク」極めていい小説だが、一箇所だけ禁を破って文中に作者が顔を出してしまった箇所があり全体を台無しにしている。
③面白いが、基本的には面白いだけ
桜庭一樹「青年のための読書クラブ」
歌野晶午
桐野夏生
パトリシア・コーンウェル
⑤番外際物
「メルカトルなんとか」
⑥再挑戦要。読了すれば面白いのかも知れない
カズオイシグロ「充たされざる者」
町田康「告白」
佐藤亜紀「ミノタウロス」
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